Shelby Flint(シェルビー・フリント) Valiant 3LP in 2CD その1

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 一般に「天使の歌声」と評されるShelby Flint。
 とは言え、知る人ぞ知る存在であり、ヒットは61年2月27日22位のAngel On My Shoulderと66年9月17日61位のCast Your Fate To The Windの2曲のみで、チャート・マニアにはいわゆる一発屋として認識れている。
 だから、ネットで調べてもほとんど情報がない。
 39年米国イリノイ州Ciceroで生まれ、アーカンソー州で育った。
 父親は炭鉱夫であったが、音楽好きの家族で、3才からピアノを学んだ。
 両親ともアパラチア地方の出身であったが、カントリーはノドを痛めるからと禁止され、伝統音楽や教会音楽の中で育ち、歌よりもピアノにのめり込んでゆく。
 ラジオでリサイタルが放送されるほどになったが、人前で演奏することは苦痛だったらしい。

 その後ロサンゼルスに引越し、14才でギターも習い始めた。
 マッカーシーの赤狩りの時代で、コンサート・ホールで演奏活動がしづらくなったPete Seger等が教会を利用するようになり、それを目にしたことでShelbyはフォーク・ソングにのめり込んで行く。

 余談だがウィキペディアには「公民権運動を象徴する歌として『We Shall Overcome(勝利を我らに)』が多くの人々に普及することになった。この曲のバージョンの一つは、早くも1947年に、ハイランダーのジルフィア・ホートン(Zilphia Horton)によって、シーガーが主宰していた『People's Songs Bulletin』に発表されていた。」とある。
 このZilphia HortonはShelbyの母方の伯母で、その夫Miles Hortonは20年代にテネシー州でHighlander Folk Schoolを開校した人であり、Shelbyは18才の夏をこのフォークの巣窟で過ごしてパワー・アップした。



 その後、サン・フェルナンドのValley Collegeに通い、そこの社交クラブで自作曲を披露していたのだが、友人を介して音楽出版社に勤めていたBarry DeVorzonと知り合うこととなった。
 Shelbyは12才から作曲しており、その中の1曲I Will Love YouをBarryが気に入り、デモ・テープを作り売り込みを図った。(著作権登録は共同名義となっているが、実質はShelbyの単独曲。)

 それをCadence RecordsのArchie Bleyerが気に入り契約となった。
 CadenceはThe ChordettesやAndy WilliamsやThe Everly Brothersを抱えていたが、女性シンガーを探しているところで、Archieは曲だけではなくShelbyの声も気に入ったようだ。

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 ↑ピアノを弾いているのがArchie、中央がAndy、その横の女性達がThe Chordettes、そしてEverly兄弟。
 このCDに興味がある方はこちら。(Johnny TillotsonのPoetry In Motionは女性コーラスが強調された別テイクが収録されている。最高!)

 Shelbyの回想によると録音のためナッシュビルまで呼ばれたのだが、バス停にはArchieがPhil Everlyを伴って待っていたとのこと。
 また、録音にはChet Atkinsも立会い、バック・コーラスはThe Jordanairesだった。
 すぐに1stシングルI Will Love You / Oh I Miss Him Soが発売され東海岸をプロモーションのために回ったのだが、いわゆるドサ回りでShelbyにとってはかなり辛い旅だったそうだ。

 結局は全くの不発で作曲に専念しようと決めたのだが、ドサ回り中の口パク映像がピアニストLiberaceの目に留まり、ロサンゼルスの彼のテレビショーに出演。
 ガール・シンガーとしてTo Know Him Is To Love Himのような流行のヒット曲を歌わされ、フォーク・シンガーを自認するShelbyにとって、これまた辛い経験だったそうだ。結局、2週でお払い箱となった。

 その後はBarry DeVorzonの下でDemo録音のバック・シンガーとして働いていたのだが、BarryがShelbyが10代の頃に作曲したAngel On My Shoulderを思い出した。
 Demo録音の末、その出来の良さからBarryは自らのレーベルValiant Recordsを立ち上げて、そこからの第1弾シングルとして発売することとした。

 Valiant6001 Angel On My Shoulder / Someday(60年)



 Shelbyのギターの弾き語りによるDemo録音を再録音することなく、Perry Botkin, Jr.が美しいストリングスを被せて完成させた。
 この曲のアレンジはPerryにとっても最初期の作品に当たる。

 ここでShelby本人の登場。

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 ↑美しい!!!
 落ち着いた声から受けるイメージとはかなり違った。
 もっとオバサンを想像していたのだが、驚き…。

 始めにネットに情報がほとんど無いと書いたが、今回は02年Collecors' Choice Recordsから発売された2枚組CDのライナー・ノーツを参考とした。(情報満載で、Shelby自身の回想まで収録した素晴らしいライナーだった。)

 次回はこの2枚組CDに収録されたValiant Recordsでの3枚のLPについてコメントしたい。↓

HMVジャパン

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