The Cowsills (ザ・カウシルズ) On My Side その6

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 09年から英国の再発専門レーベルCherry Red Records系列のNow SoundsからTheCowsillsのオリジナル・アルバムの再発が始まっている。
 今回は前回のシングルSilver Threads And Golden Needlesに続いての6回目。
 前回レビューしたとおり、テレビ・ドラマThe Partridge Familyのキャストから外れた結果、放送開始からわずか半年でThe Cowsillsの人気は下降線を辿った。
 そんな厳しい状況の中で、内輪もめとも言えるような長男Billの追放。
 そしてThe Cowsillsに興味を失ったMGM Recordsとの決別。
 因みにMGMは72年にPolyGramに売却されてしまうので、The Cowsillsが移籍した70年頃に管理下のアーティストを積極的にプロモートするだけの体力・気力があったかどうかは疑問だ。

 遅ればせながら、ここで大勢いる家族構成を整理しておこう。
 父       Bud (William Joseph Cowsill, Sr.) December 2, 1925-1992  
 母       Barbara (Barbara Cowsill) July 12, 1928-1985
 長男     Bill (William Joseph Cowsill, Jr.) January 9, 1948-2006
 次男(双子) 加入せず (Richard James Cowsill) August 26, 1949
 次男(双子) Bob (Robert Paul Cowsill) August 26, 1949
 四男     Paul (Paul Mitchell Cowsill) November 11, 1951
 五男     Barry (Barry Steven Cowsill) September 14, 1954-2005
 六男     John (John Patrick Cowsill) March 2, 1956
 長女     Susan (Susan Claire Cowsill) May 20, 1959
 ※赤字は10年時点で故人
 66年のPhilips時代はBill(18才)、Bob(17才)、Barry(12才)、John(10才)の4人だったが、67年のMGM時代になるとBarbaraが、続いてSusanが、最後にPaulが加わった。

 70年にはBillが脱退し、ソロ・アルバムを発表。
 LP Nervous Breakthrough (MGM SE 4706 70年発売)

Billy Cowsill - Nervous Breakthrough

 BillにはThe Beach Boysからパラノイアによりツアーから離脱していたBrian Wilsonに代わって参加の打診があったとの噂がある。

 一方、The Cowsillsは70年にLondon Recordsに移籍し、翌71年には双子の次男Bob(22才)と五男Barry(17才)をプロデューサーにアルバムを発売した。
 72年には解散してしまうので、これが解散前の最後のLPとなった。
 6th LP On My Side (London PS 587 71年4月発売200位)

On My Side
Now Sounds
2010-12-07
Cowsills

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 16thシングル On My Side / There Is A Child
 (London 45-149 71年発売108位)

The Cowsills - On My Side


 17thシングル You (In My Mind) / Crystal Claps
 (London 45-153 71年発売)

The Cowsills - Crystal Claps


 72年になり母Barbaraと五男Paulと長女Susanがバンドを去り、Billが復帰してバンド結成当初のオリジナルの4人で再始動することとなった。

 18thシングル Covered Wagon / Blue Road
 (London 45-170 72年発売)

 まずはThe Cowsillsを取り巻く環境について整理をしておこう。
 お茶の間のアイドル的なファミリー・バンドとしては、The OsmondsやThe Jackson 5の猛追や、仇とも言える偽ファミリー・バンドThe Partridge Familyの台頭もあり、既に歴史的役割を終えていた。
 つまり人気を博したファミリー・バンドとしては草分け的存在であったが、既に特別な存在ではなくなっていた。
 また、それは知名度はあるものの、かつての人気が既に失われていたことも意味している。

 要するに人気に頼らず、実力で勝負するしかない。
 しかし、実力を発揮しても「あ-、あのカウシルズね~」みたいに、かつて人気があった者ほど既成概念や固定観念で切り捨てられる可能性が高い。
 また、「まだ、飽きずに聴いてるんだ…」みたいに、まるで流行遅れのファッションのように扱われたりもする。
 それは流行に敏感な若者ほど顕著で、おおっぴらに口にするには恥ずかしい存在に成り果ててしまう。
 
 The Cowsillsのファンは、まさしくそのティーンネイジャーが中心であり、「あの子供たちカワイイわね!」みたいなパパやママがレコードを買っていた訳ではない。
 もしも、ライバルが登場しなければ特別な存在としてファンと共に成長できたかもしれないが、ライバルが次から次へと出現したのではたまったもんではない。
 同じ事をやっていればマンネリと飽きられ、変化を見せれば昔のファンが逃げる。 バンドもファンも成長しているので、その兼ね合いが非常に難しい。
 ヒット曲を出し続ければ良いのだが、それはもっと難しい。
 70年10月17日から5週連続1位のThe Jackson 5の3rd LP I'll Be There↓



 本シングルを収録した70年4位のThird Album(邦題:アイル・ビーゼア)。
 画像は貼り付けられなかったが、01年に4th LP Maybe Tomorrow(邦題:さよならは言わないで、71年11位)との2イン1で発売されたものの廉価再発盤。
 ただし、10年に紙ジャケット化されているが、今回はShm-CDでの再発。

アイル・ビー・ゼア/さよならは言わないで
USMジャパン
2011-06-08
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 私は98年にPolydor Recordsから単独で発売されたリマスターCDの日本盤を持っているのだが、音質は秀逸だ。

 70年11月21日から3週連続1位となったThe Partridge FamilyのI Think I Love You↓

The Partridge Family - I Think I Love You / Somebody Wants to Love You

 本シングルを収録した70年4位の1st LP The Partridge Family Album(デヴィッド・キャシディとパートリッジ・ファミリー)。00年にRCA系の再発レーベルBuddha Recordsが復刻したCDの廉価再発盤。(安い!)

Partridge Family Album
Sbme Special Mkts.
2008-02-01
Partridge Family

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 私はThe Cowsillsの1stと4th LPも復刻した米国Razor & Tieが93年に発売したCDを持っている。リマスターはBill InglotとKen Perryで93年にしては音質は良好。

 偽ファミリー・バンドなんて言ってるが、実はこういうの大好きかも知れない。
 Screen GemsがThe Monkeesと同様に総力を挙げたテレビ番組が土台となっており、外部のプロを起用して作り上げた第1作なので、完成度と新鮮さが並存しており内容自体も素晴らしい。
 今回、聴き直してみて、改めてその魅力に気付いた。
 美しいカラー映像が残っている点でも、かなりのインパクトがある。
 この1st LPに収録されているI can feel your heartbeat↓



 71年2月13日から5週連続1位となったThe OsmondsのOne Bad Apple↓
 The Cowsillsと同じMGM Recordsからのヒットだ。



 本シングルを収録した71年14位の1st LP Osmonds↓
 08年に英国Gram & 7t'sから2nd LP Homemade(71年22位)との2イン1で発売されている。音質は秀逸だ。

The Osmonds/Homemade
Glam / 7t's
2008-05-27
Osmonds

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 そのライバルたちも同じような末路を歩む結果となるのが音楽業界。
 あのThe Jackson 5でさえ低迷・衰退期はあったし、その後Michaelがソロでブレイクしなければ、かなり厳しかったと思う。

 74年のAmerican Music Awardsでの映像。↓



  Donny Osmondは16才、Michael jacksonは15才。
 The Osmondsは74年10月19日のLove Me For A Reasonが最後のTop10ヒットとなった。
 The Jacksonsは74年5月18日のDancing Machineの2位をピークに人気が下降線となり、76年に古巣MotownからEpicに移籍のうえThe Jacsonsとして再出発を切ることとなった。

 一方で何十年も経ってから、音楽性そのもので再評価される作品もある。
 
Pet Sounds
Captol
2001-04-13
The Beach Boys

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 あのThe Beach BoysのPet Soundsは、20年ほど前まではBrian以外のメンバーでさえ公然と認める失敗作として語られていた。
 日本だけではなく、世界のビーチ・ボーイズ・ファン、いや!真の音楽ファンがセールスや人気に左右されることなく、音楽性だけで再評価した結果、覆ったのだ。

 名盤として評価が定まったPet Soundsは稀有な例だが、セールス的には失敗作でも音楽性の高い作品が意外とゴロゴロしているのが現実だ。
 ただし、好みは人それぞれだから、、他人の評価を気にすることなく自分自身のお気に入りを発見出来ればそれで良いと思う。(それこそがコレクターの醍醐味だよね)
 全米1位の作品でも気に入らない場合があるように、ある人にはお宝でも、ある人にとってはクズであったりする。
 所詮音楽は好き嫌いの世界だから…。
 たぶん「好き」の最大公約数の部分がヒット曲になったり、名盤と呼ばれたりするのだろう。

 だから私は気に入ったものはプッシュするし、気に入らなかったものはレビューしない。
 ただし、音質については結構辛口の評価を心がけている。
 音質はアーティストの責任ではなく、復刻を手がけた会社の責任だからね。
 特に古い音源の復刻は…。
 
 かなり脱線したので、話を元に戻そう。

 <最盛期のThe Cowsillsに対する一般的イメージ>
 1.Family Band(ファミリー・バンド)
 2.Teen Pop(ティーン・ポップ)
 3.Sunshine Pop(サンシャイン・ポップ)
 4.Harmony Pop(ハーモニー・ポップ)
※1.2.は音楽性とはあまり関係なく、私としては特徴的な美しいコーラス・ワークの3.4.の印象が強い。

 <71年のThe Cowsillsに対する私のイメージ>
※3.がSoft Rock(ソフト・ロック)もしくはPower Pop(パワー・ポップ)寄りに移行している。
※美しいコーラス・ワークが弱まったり無くなったりしたことはなく、ハーモニーは健在である。
 ただし、女子と聴き間違えるようなボーイ・ソプラノは変声期を経ており、昔のようなサンシャインのイメージはもう当てはまらない。

 内容はどうか?
 12曲収録されているのだが、9曲目までは文句なしに素晴らしい。
 10曲目以降は「やっちゃった!」みたいな感じ。
 短くても9曲で終わっていれば、アルバムとしての統一感は絶品だし、ソフト・ロックのアルバムと考えても文句なしだ。
 最後の3曲のせいで、ある種ぶち壊しとういう感じ。
 取って付けたようなコテコテのカントリーやノリノリのロックンロール。
 コンサートで色んなジャンルを披露して観客を喜ばせる手法が、逆にアルバムとしては散漫で中途半端な印象を与えている。
 ファンに対するサービス精神が仇となった感じだ…。
 無理して変化を付けたり、盛り上げなくても良かったのに…。
 この3曲分が、ちょうどBillが抜けた穴の大きさってことか…。

 ただし、上で紹介したThe Jackson 5やThe Osmondsのアルバムと比較して、内容に遜色は無いと思う。
 ライバルは全米1位のシングルを収録しており、チャート的にも圧勝なのだが、アルバムの出来としてはThe Cowsillsも引けは取ってないと思う。The Partridge Familyの1stにはどれも完敗だけどね….

 気になる音質であるが、最高に素晴らしい!
 CDのレーベル面にわざわざStereophonicの文字。
 何で今さらStereoを強調するの?71年ではStereoが定着しているのに。
 聴いてみた感想は、まるで4チャンネルStereoのような立体感のある音場。
 音の分離も良い。
 プラ・ケース裏側にはFrom The Original Master Tapesの表示。
 透明なCDトレイの下にはテープ・ボックスの写真が…。
 紛れも無くマスター・テープからリマスターされたことの証明だ。

 最後に、ボーナスとしてLPにも収録された16thシングルがMonoヴァージョンで、LP未収録の17thと18thの4曲のうちYou (In My Mind)がStereoで収録されている。
 残りの3曲がどうして未収録なのかは疑問だし、大いに不満だ。

 ここで白状しておこう。
 実は3rdアルバムCaptain Sad and His Ship of Fools を買って、その音質の悪さににがっかりした。
 たまたま、このCDを入手してその音質に驚愕してしまい、既に持っていた1stアルバムを買い直した経緯がある。
 また、1stアルバムではわざわざMono盤を選択し、音質は秀逸だった。
 それにしても、どうして3rdアルバムのCDだけ音質が悪いのだろうか…。
 もしかしたら3rdのみマスター・テープからのリマスターじゃないかも知れない。
 せっかく内容が素晴らしいのにね。

 いずれにせよNow Soundsには2nd We Can Flyと4th In Concertと5th ⅡxⅡの復刻を強く希望します。
 出来ることなら空振りした3rdのMono盤も…。

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この記事へのコメント

2011年04月16日 15:01
こんにちわ。
久し振りのコメントになります。
ザ・カウシルズ、力作でしたね。
造形の深さに感心しました。

僕が知ってる曲はベタですけれど。
「雨に消えた初恋」だけでした。
それも、姉の持っていたレコードで、
聴いただけなので、勉強になりました。
パートリッジ・ファミリーは、昔TVで
良くみていました。
あの頃の人達は今頃どうしているんでしょうね。
2011年04月16日 16:57
tone toneさん
お久しぶりです。
早速のコメントありがとうございます。
カウシルズについては、特にファンではなかったので、あちこちに脱線してしまい恥ずかしい次第です。
まあ、それはそれで勉強になったし、楽しかったのですが…。
話は変わりますが、私は金曜10時からBSプレミアムで放送が始まったGleeにはまりかけています。
よくありがちな高校のコーラス部を舞台とした青春物語と思っていましたが、ストーリーはさておき登場する新旧織り交ぜてのヒット曲にやられそうです。
とりあえず第1回放送のJourneyのDon't Stop Believingが良かったので見ることにしました。
「この曲、こんなに良い曲だったっけ?」みたいに。
そう言う意味では、今回はカウシルズの「雨に消えた初恋」の素晴らしさに気付かされました。
この曲、Gleeでやってくれないかなと思います。
tone tone
2011年04月16日 18:00
Gleeは、スカパーで何度か見ました。
結構、面白いですよね。
どの回か忘れましたけど。意外な人物が
登場するシーンがあります。
ネタばれになるといけませんので。
お見逃しの無きよう。
2011年04月17日 14:48
tone toneさん
ご配慮ありがとうございます。
2回目見ました。
5秒ほど流れたEric CarmenのAll By Myselfの使われ方が面白かったのと3人のチア・リーダーが踊りながら歌ったDionne WarwickのI Say a Little Prayerのコーラス・アレンジが最高でした。
たぶん見続けることになると思います。

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