Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)West Coast Seattle Boy その1

 2010年1月からジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の権利がユニバーサルからソニーに移行したことに伴いオリジナル・アルバムや編集盤がリマスター復刻されている。
 その多くがボーナスDVDを追加しているが、ユニバーサル盤の収録曲を踏襲していた。

 前回記事 Are You Experienced ? はこちら。

 また、前回復刻時の目玉となった編集盤Valleys Of Neptuneも発売された。 

 今秋、今春のリマスター復刻から漏れた残りの編集盤がソニーから発売されたのだが、今回の目玉は4枚組CD+DVDの5枚セットのアンソロジーが登場したことだ。
 
 今回は、編集盤は見送って、この5枚組だけ購入することにした。
 タイトルはWest Coast Seattle Boy The Jimi Hendrix Anthology。
 Disc1にはメジャー・デビュー前のバンド・マン時代のオフィシャル音源を、
 Disc2以降はスタジオ、デモ、ライブ等の未発表音源を収録している。

West Coast Seattle Boy: The Jimi Hendrix Anthology
Sony Legacy
2010-11-16
Jimi Hendrix

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 ↑輸入盤。
 
 私としてはJimiのバンド・マン時代の音源にはほとんど興味がなく、敢えて買い揃えようと思ったこともなく、1、2曲をラジオか何かで耳にした程度だ。
 とても、The BeatlesがThe Beat Brothers名義でTony Sheridanのバック演奏を務めたポリドール音源のような興味は湧かなかった。
 ただし、何か機会があれば聴いてみたいとは思っていた。
 
 実際にはお目当てのDisc2から聴き始めたのだが、先にDisc1を聴いての感想を述べると、たぶん単独CDだったら買わなかっただろうということ。
 ただし、インディペンデントも含めてレーベルを横断して収録された音源には、資料的な価値が十分認められると思う。
 あくまでもJimiはサイド・マンであり、スタンド・プレーは許されないのだが、一聴してJimiのギターだと分かる曲もあり、面白かった。
 弱小レーベルのためマスター・テープの保存状態が良くないのが残念なのだが、特にRosa Lee Brooksとの2曲が興味深かった。
 その他のメジャー系の音源は全く問題なしだ。
 15曲も収録しているので私のような者にとっては、アンソロジーBoxのボーナスと考えれば、非常にありがたく重宝な1枚だと言えるだろう。
 だって、後で説明するけど、残りの3枚で十分元は取れる内容なので…。

 それではDisc2に移ろう。 
 1曲目はFireの未発表別テイクだ。
 ブックレットに詳しい情報があり、
 67年1月11日 ロンドン DeLane Lea Studios で録音されたテイク7を基に、
 67年2月8日 ロンドン Olympic Studiosで追加録音され、
 4トラック録音のベーシック・トラックが完成した。

 4トラック・テープでは、もう録音できるトラックが残っていないのでリダクション・ミックス(減数ミックス)により、JimiのヴォーカルやMitchやNoelのコーラスを録音出来るトラック数を増やすのだが、具体的には、

 ①この4トラック録音を2トラックにミックスして、②新しい4トラック・テープの2トラックにダビングする。
 この新しい4トラック・テープには2トラックが未使用のまま残っているので、そこにJimiのリード・ヴォーカルとNoelとMitchiのバッキング・ヴォーカルを録音して、新たな4トラック・テープが完成する。
 ③この新たな4トラック・テープから2チャンネル(2トラック)のStereoマスターもしくは1チャンネル(1トラック)のMonoマスターを完成させる。

 だたし、音質の劣化の問題が発生する。
 ①のミックスは音を混ぜ合わせるので、音の分離が悪くなる。
 4本を2本に(2本を1本に)押し込めるので当然だ。
 一方、4本のスピーカーから4トラックの音をそれぞれ流せば最高に分離の良い音が出る。

 ②のダビングは1度録音された音を更に別のテープに録音するため接触型の磁気テープの宿命で音の鮮度が落ちる。
 ダビングすればるほど音の鮮度が落ちて行く。

 ③では再度ミックスとダビングが行われるので、更に音質が劣化する。
 要するに1番最初に録音されたベーシック・トラックは、2回のミックスと2回のダビングにより音質が劣化することになる。これに経年劣化が加わり音が緩む。下手をすればテープの磁性体が剥落したりする。
 因みに、リダクション・ミックスは1回とは限らない。
 更にトラックが欲しくなれば、2回行われることもあった。
 レコードとなるまでに最初の録音はダビング等によりかなり劣化する。
 録音当時はそれほど影響がなくても、年月が経つとボーディー・ブローのように悪影響を及ぼす。

 しかし、デジタル録音の場合には、ミックスの影響は多少あるかもしれないが、ダビングによる劣化は起こらない。
 だから、最新の機器を使用してリダクション・ミックス前のそれぞれのトラックから直接音を拾って2チャンネルStereoマスターを作れば60年代後半には考えられなかった最良の音質が実現出来ることになる。
 
 ブックレットの解説によると、リダクション・ミックス前の4トラックとリダクション・ミックス後に新たに録音された2トラックの合計6トラックからリミックスされたと読めるのだが…。
 これが本当ならスゴイ!
 
 実際に聴いてみて、音の分離も鮮度も最高だ!
 迫力はあるが、騒々しくは無い。
 音が厚く、そして深い。
 高音がキンキンせず、耳にストレスがかからない。
 すばらしい!
 ドラムスのMitchの腕の動きが分かるようだ。
 なぜか?
 ドラムがリダクション・ミックスにより1トラックに押し込められたMonoじゃなく、
 当初の4トラックからStereoで収録されているからだ。

 Jimiが求めていた美しい音がそこにはあった。
 「スタジオでは美しい音が、レコードになると醜い音に変わってしまう。」
 「どうして?!」みたいなことをJimiは口にしていたはずだ。

 今春復刻された1stアルバムに収録されているFireも良い音だったが、本Box収録のFireは1ランクか2ランク上だと思う。
 もう、この1曲でこの5枚組の評価は☆5つになった。
 
 まさか、当初の4トラック・テープが現存しているとはね。
 リダクション・ミックスされた時点で廃棄されても不思議ではない。
 廃棄と言うよりも上書き保存されて他の録音に使い回しされると言うことだ。
 この方法は、過去の録音が消去されるうえに、新しく上書きした録音も決して良い音質にはならない。(磁性体が乱れるため)
 仮に、残っていたとしても保存状態が悪く、経年劣化により使い物にならない場合も多い。

 奇跡だね、この音は!
 6トラック録音を元に最新デジタル・リマスターか!
 ついでを言わせてもらえば、フェード・アウトしない完奏ヴァージョンだ!

 本当に67年初頭の音なのか?
 出来るだけデカイ音で聴いてみて!
 気持ちイイぞ!!


 ↑日本盤。

 他にもリダクション・ミックス前の4トラック・テープが現存するのなら、ぜひ同じことをやって欲しいなー。
 オリジナル・エンジニアーのEddie Kramerが元気なうちに…。

 続きは次回で…。

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