Free Design (フリー・デザイン) Kites Are Fun 1st LP

11年The Free Designのオリジナル・アルバムが日本で復刻された。
近年入手しにくい状況が続いており、久しぶりの国内復刻だった。
そもそも、日本では全く無名だったこのグループに光が当たったのは、94年のCornelius(小山田 圭吾)が主宰する日本のトラットリア(Trattoria)レコードからのCD復刻だった。
これを契機にソフト・ロック・ブームの波にも乗って再評価が始まり、その動きは海外にも逆輸入の形で波及していった。
海外でもとりあえずベスト盤が発売されるに至った。
私が持っているのは98年米国のVarese Sarabandeから発売されたベスト。↓
Enoch Lightが設立したProject 3から発売されたThe Free Designの15曲にChris Dedrick名義の未発表ソロ・アルバムBe Freeからの1曲を収録している。
CDのレーベル面にはEnoch LightのStereo録音初期のキャッチ・フレーズMaster recorded on 35mm magnetic filmが印刷されており、98年当時としては音質は秀逸だったと思う。
03年からは米国のLight In The Atticがオリジナル・アルバムのCD復刻を始めたのだが、このレーベル聞いたことがなかった。
ボーナス曲の収録は魅力だったけど、素性の分からないレーベルだったのでレコード盤起こしの海賊盤の疑いはあったし、何よりも値段が高かったので購入は見送った(確か日本の通販サイトで3,000円前後)。
そもそも、チャート・マニアの私にとって、ヒット・シングルが全米114位のKites Are Funの1曲しかないグループは、ベスト盤1枚で十分だった。
ところで、The Free Designは日本では主にソフト・ロックのジャンルで語られてきたが、米国ではジャズ風ポップとかサンシャイン・ポップ、バロック・ポップで語られているようだ。
それにしても、エレクトリックではなくアコースティックの印象が強いと、何でもにフォーク風に感じてしまうのは私だけだろうか。
実際のところは楽器などは関係なく、複雑なハーモニー、ジャズ風のコード進行、off-beatがジャズ風と言われる理由のようだ。
ニューヨーク州Delevanの音楽一家Dedrickファミリーの長男Chris、長女Sandy、次男Bruceがニューヨーク市に拠点を移して活動を始めたのは66年の終わり頃で、67年にはシングルKaites Are Funでデビューし、その後は次女Ellen、三女Stefanie加えながら72年まで活動した。
5人の写真を探したのだが、男性3人、女性2人のものしかなかった。あれ?
その上、この1stアルバム収録のUmbrellasの頃は、まだ3人編成だった。↓
1stアルバムのジャケットに小さく写ってるのが、その3人だ。↓
↑11年日本のSOLIDから復刻された国内盤CD。
日本のレコードコレクターズ11年3月号でも取り上げられ、触手が動き始めたのだが、1stと2ndにはボーナスが追加されてなかった。
それで気になったのが02年のLight In The Attic盤。
調べてみたら、残念ながら既に廃盤になっていた。
そうこうしている内に月日は流れ、11年の買い残しはないかとチェックしてみて驚いた。Light In The Attic盤がAmazonのカタログに復活していたのだ。↓
↑円高のおかげか、ブームが一旦去ったためか、発売当初の半値以下となっており、もっと驚いた!
早速1stから3rdを注文してみた。
1stのシールにはこう書かれてあった。
Seminal soft-psych 1967 debut masterpiece from Enoch Light's Project 3 label a la The Beach Boys & The Association, influencing countless artists including Beck, Madlib, and Stereolab.
First time Available in The U.S.
24-bit remastered
Bonus tracks
New liner notes by Cornelius & Michael White
米国初のオリジナル・アルバムのCD復刻は24ビット・リマスターされており、98年のベスト盤を軽く凌駕している。ちょっとブラスが耳に付く曲もあるが、耳障りと言うほどではなく、音質は秀逸だった。
ボーナス・トラックはProper OrnamentsのMONO盤とKites Are FunのMonoシングル盤の2曲。
14ページのブックレットには、オリジナル・ライナー・ノートやバイオや写真や収録曲データの他ニュー・ライナー・ノーツが掲載されている。
デジパック仕様だが、個人的には大嫌いな紙ジャケットより、はるかに気に入っている。
この値段で、この内容なら文句無しだった。
↑68年発売の2ndアルバム。ボーナス2曲収録。
↑69年発売の3rdアルバム。ボーナス2曲収録。
既に4thアルバム以降は一部マーケットプレイスに移行しつつあり、入手しにくくなっているので購入はお早目に。
この記事へのコメント
カイト・アー・ファン、いいなあ。「凧、楽しいよ!」か。歌詞内容わからないけど、「ね、ね、凧、楽しいよ♪ほら、楽しいよ♪」と、それだけの歌であってほしいなあ。この一曲のためだけに買おうかと思い中。晴れた日曜の午前に、でかく鳴らして、同居人の機嫌が悪かったら、「うっせー、ああそうさ凧は楽しいさ、凧が楽しいのはもうわかったから、掃除しろ!」とかそうなったら、「おまえは波平かっ、家事くらいやれ」と言い返し、そのバックで流れる「ね、ね、凧、楽しいよ♪」。
ともかく「凧、楽しいよ!」はチャーミングな歌です。
歌もチャーミングなんだけど、shikiさんのコメント自体にチャーミングな感じが漂ってる。波平登場の部分は別として(笑)。
何かいいことが起こってるのかな?
春に飛ばす凧、冬に上げる花火みたいに、実はいいかも!でも、風が吹かないと無理だね。・・! 走ればいいか!
でも!ボーカルが左に、ぐうっと寄っている。
アマゾンで中古買ったのだけど、けちらなければよかった、ボーナストラックのMONO盤付きのにすればよかった、と後悔中。四月はジャニス・イアンも買ったし、「今月の買い物はそこまでだっ!」となってしまったので、がまんだけれど、なんで寄せちゃうのかなあ、左に。真ん中で言おうよ、はしゃごうよ、「凧、楽しいって」さ。ともあれご報告まで。
上で紹介したVareseのベストとLightin the Attickの1stアルバムの定位をチェックしてみたけど、ヴォーカルが中央に定位する正真正銘のリアルStereoでしたよ。
気の利くお父さんで良かったですね。
私も基本的にヴォーカルが中央に定位しないと気持ち悪いです。楽器等の編成によってはヴォーカルが片方に寄るケースもあるけど、適当に割り振ったミックスならば、Mono盤を聴いた方が気が休まります。