The Kinks(ザ・キンクス) Kinks 1st LP デラックス盤(2CD)

HMVジャパン

 11年になってThe Kinksのオリジナル・アルバムのデラックス盤化が始まった。
 98年に1度リマスターされており、その素晴らしい音質とボーナス曲が多数収録されたことで、現在でもカタログに残っている。

HMVジャパン

 ↑現在入手可能なのは09年発売の廉価日本盤。
 本編14曲はMono盤を採用。
 12曲のLP未収録シングル、EP、別テイク、未発表曲をボーナスとして収録。

 リマスターから10年経過した08年に全キャリアに亘る6枚組ボックスが登場。
 Ray Davis自らが監修したこと以上に、秀逸な音質には目を見張るものがあり、リマスター技術の進歩に驚かされた。↓

Picture Book
Sanctuary UK
2008-12-09
Kinks

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 ↑私は輸入盤を購入したのだが、国内盤はShm-CDだったはずだ。
 レア・トラックを多数収録した6枚組というヴォリュームもすごかったが、分厚いブックレットが素晴らしく、ライナー・ノーツもさることながらダイアリーが面白かった。

 それから3年経過して、オリジナル・アルバムの再リマスターとなった訳だ。
 今回のデラックス盤に期待されるのは、
 ①初めて耳にするStereo盤の内容、
 ②Mono盤の再リマスターによる音質アップ、
 ③ボーナス曲の充実度の3点だ。

Kinks
Sanctuary Records
2011-04-19
Kinks

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 ①について
 1st LP Kinksが発売されたのが64年10月2日であり、英国内ではMono盤のみであったが、輸出用にStereo盤も作られた。
 今回Disc1に収録されたのはStereo盤なのだが、はっきり言って期待してはいなかった。
 何しろ64年の英国であり、Stereo盤にどれだけの意味があったか疑問だった。
 とりあえず新し物好きやオーディオ・マニアのために作りましたというところか。
 ラジオもテレビもモノラル放送だった時代に、Stereo盤はStereo再生装置を持っている一部の人のためだけに作られた。
 要するにStereo再生装置が広く普及するまでは、当然製作サイドの意識はMono盤中心であった。

 EMI傘下のThe BeatlesがAbbey Roadスタジオで4トラック録音を開始したのが、3rd LP A Hard Day's Night(64年7月発売)からだった。
 それ以前はたったの2トラック録音であり、Stereo盤を作るためだけではなく、一発録りしか許されなかった録音現場で2回に分けて録音を可能にした。
 マルチ・モノによる多重録音はトラック数が増えれば増えるほど、失敗すれば演奏を始めからやり直さなければならないプレッシャーとストレスから演奏者を解放することになった。(ただし、一発録りした時のようなグルーブ感が出るかどうかは別問題である。)

 通常2トラック録音ならMono録音を2回に分けて録音し、その2本を1本にミックスしてMonoマスターを作成する。
 一方、2トラックの片方を右チャンネルにもう片方を左チャンネルに振り分ければ、左右から別々の音が聴こえるので形式上Stereoになるのだが、それはMonoじゃないことを意味しているに過ぎず、積極的にStereoと言えるかは疑問だ。
 例えば右スピーカーから演奏、左スピーカーからはヴォーカル、左右のスピーカーの中央からは音が聴こえないことになる。かなり不自然な音場となるので、リアルStereoに対して擬似Stereoと言った方が適切だ。
 そんなことなら、クラシック録音のように2本のマイクをスタジオの左右に配置して、一発録音した方がはるかにStereoイメージは再現できると言うよりか、まさしくこれがStereo録音だ。
 オーケストラの場合は楽器が多くても同時演奏の一発録音が基本である。
 一方、ピアノ独奏でも1本のマイクで録音した場合と、2本のマイクを配置して2トラック録音した場合とでは、音源は1つなのだが、残響音等の音場の拡がりに決定的な違いが出る。
 2トラック録音でリアルStereoを実現しようとするならば、こういうやり方しかないのだ。
 ただし、当然のこととして演奏者の重圧は取り除かれないし、1人で2つ以上の楽器を担当することは一発録りの性質上不可能となる。

 だから、ポピュラー音楽の2トラック録音の場合、Stereo盤と聞いても過度の期待をかけてはいけない。
 しかし、マルチ・モノ録音といども4トラックになると事情は違ってくる。
 1トラック目にベースとドラムス、
 2トラック目にヴォーカル、
 3トラック目にリード・ギター、
 4トラック目にコーラスと言うようにこれらを2チャンネルにミックスすれば、かなりのStereoイメージを再現できる。

 それでは本題に入ろう。
 2トラック録音による最悪の擬似Stereoを危惧していたのだが…。

 ?????

 左右のスピーカーの中央から音がする。
 ベースとドラムスのリズム・トラックがしっかりと中央に定位している。
 左からヴォーカル、右からコーラス、ギター、タンバリン、ハーモニカが聴こえる。
 これで、少なくとも3トラック録音以上であることが分かった。
 普通なら中央にヴォーカル、片方にリズム・トラック、反対にその他となるのだが、リズム・トラックをMonoで中央に定位させ、その他を左右に振り分けてStereo感を出すミックスもあるんだと少し驚いた。
 ヴォーカルが中央に定位しないと個人的には違和感があって気持ち悪いのだが、メイン・ヴォーカルとサイド・ヴォーカルを左右に振り分けて、ダブル・トラック風に聴かせることで違和感を低減させているように感じた。

 肝心な音質は音の分離も質感も良くて秀逸だ。
 2チャンネルStereoマスターが酷使されていなかったせいか、リマスター技術の進歩もあって、非常に生々しく、瑞々しい音質だ。
 リズム・トラックが中央に定位しているおかげで、音の分離が良くなった分だけ音の隙間がはっきりし、スカスカな感じになってしまうことはない。迫力もしっかりある。

 ただし、You Really Got MeはStereoじゃなく、Monoにリヴァーブを加えた擬似Stereoだった。
 この1曲だけPyeスタジオじゃなくて、IBCスタジオ録音だからMono盤しかないのかな?
 でも、ネットでStereo盤を聴いたことがあるし…。
 あれって、もしかしてMonoを電気的に変換した擬似Stereoなのだろうか?
 本当にマルチ・トラックのセッション・テープは現存しないのだろうか。

 続きは次回で…。

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