Zombies(ゾンビーズ) Odesey&Oracle CBS Years 1967-69 #3

HMVジャパン


 前回に引き続きThe ZombiesのOdessey & Oracleの3回目。
 前回はThe ZombiesとAl Kooperとの関わりについて述べた。

 ここで超個人的な話だけど、89年にテイチクの3枚のCDを買ってもThe Zombiesに対しては特別な思い入れはなかった。
 チャート・マニアの私としては全米Top40ヒットを3曲持つ英国のバンドであり、当然押さえておく対象ではあるが、それ以上でもそれ以下でもなかった。
 Time Of The Seasonがどうこうではなく、1番馴染みのあったI Love Youが他のバンドのヒットと知ってビックリした程度だ。

 ところが、ある日何となく映画を見ていて、もっとビックリした。
 それは「レナードの朝(Awakenings)」(90年12月全米公開)だった。
 嗜眠性脳炎の患者(Robert De Niro)と薬物療法を施した医師(Robin Williams)の奇跡の物語。
 69年薬物療法により数十年ぶりに覚醒したデ・ニーロとウィリアムズが○を○○○○するシーンで流された。
 全く予期してなかったから、それが返って良かった。
 「この曲、こんなに良かったっけ?」
 まるで何十年も雨の降らなかった荒野に、一晩雨が降り続いて目覚めると、一斉に芽吹いていたような新鮮な驚き。乙女チックに世の中がバラ色に染まり始める瞬間。ドキドキ、ザワザワした。
 ネットで映像を見つけたのだが、一部だけ見ても良さは伝わらないと思う。
 やはり、興味のある方は映画を始めから見ることをお勧めするし、この断片的な映像は見ない方が良いと思う。↓



 私自身このシーンだけ見てもあの時の感動はよみがえらなかった。
 でも、もう一度映画を見たくなった。
 映画に挿入歌がバッチリはまると、逆にその映画はその曲のプロモーション・フィルムに変貌することになる。2時間近い映像は超強力だ。
 その結果69年に関しては、16曲ある1位の曲、そして更に16曲ある2位の曲に負けない地位まで、この3位のTime Of The Season押し上げることになった。
 
 だから、Time Of The Seasonの英国発売が68年4月で、録音が2年も前の67年8月英国ロンドンAbbey Road 第3スタジオと言われてもピンと来ない。
 余談だが、The Moody BluesのNights In White Satin(サテンの夜)も72年11月4日全米2位(全英9位)だが、英国発売は67年11月(全英19位)で、録音が67年10月ロンドン・ウエスト・ハムステッドDeccaスタジオだ。この5年の開きもスゴイね。(99年Londonを旅行した時嫁さんと2人で色違いのMont-bellのマウンテン・パーカーを着てHampsteadのホテルから出撃したのを思い出した。)

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2006-04-18
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 ↑06年発売の2枚組SACD。このアルバムも大好きで3回は買い直しており、このSACDが決定盤だ。08年に再度リマスターCDが発売されているが、SACDとは別に新たにリマスターされたのかは不明だ。(さすがに買ってないので…)

 あと忘れていけないのが、映画界にもエポック・メイキングな動きがあったことだ。
 シングルTime Of The Seasonの英国発売が68年4月5日だから1日違いだ。
 
 68年4月6日全米公開 2001 : A Space Odyssey(2001年宇宙の旅)



 ↑67年当時デジタル技術無しでよくもまあこんなスゴイ作品が作れたものだ。
 そして人類は69年7月21日に月面に第1歩を印しており、このシングルはアポロ11号発射に向けて大盛り上がりの69年3月29日に全米3位となった。

 共通するのはOdyssey。(ただし、映画の方が比較にならぬほど有名だ。)
 古代ギリシャの長編叙事詩なのだが、グレコ・ローマン(ギリシャ・ローマ)の文化圏では、「長い旅」の比喩として引用される。
 吟遊詩人ホーマーの「イリアッド」と「オデッセイ」と英語で対にして覚えたが、今はギリシャ語でホメロスの「イリアス」と「オデュッセイア」と表現するのが普通なのかな?
 だが、アルバム名Odessey & Oracleが物語そのものを指して「オデッセイと神託」と訳すのか、それとも「長い旅と神託」と訳すべきなのかは分からない。
 それと、裏ジャケットにはシェイクスピアのテンペストの一説が引用されていた。
 この当たりは、コンセプト・アルバムとかトータル・アルバムを演出した感じがする。

 一方、映画からの影響を考えてみた。
 ほぼ同時に映画が公開されたとはいえ、LPの内容に直接影響したとは思えない。
 しかし、話題性という点でLPが映画に便乗した勘は否めない。
 それと、このことがミス・スペリングに影響を及ぼすことになったと思う。
 yとeの違いなんて、The Monkeesのiとeみたいに通常なら確信犯的にシャレで押し通せるところだが、ジャケットを大幅にトリミングせざるを得なくなった。
 映画の評判がものすごかったので、米Columbiaは知ったかぶりに間違いを指摘されることよりも、いわゆる「ケチがつく」ことを嫌ったのではないかな?
 要するに「ケッ!スペルが違っとるわ。話にならん!」みたいに、内容を聴く以前にタイトルだけで駄目だしされて、作品が正当に評価されないことを懸念したと思われる。



 だから米盤LPジャケットの極端なトリミングになったようで、これが災いしたか分からないが、LPは全米95位止まりだった。
 それにしても思いっきりサイケデリックなジャケットが、原始人のような(おそらく)オデュッセウスのアップにデフォルメされてしまい、超グロテスクになってしまった。
 これでアルバムのイメージが変わっちゃったと思うのだが、これこそが欧米人がオデュッセイアに対して抱く一般的なイメージだったのなら、東洋人の私としてはゴメンナサイの世界である。

 シングルTime Of The Seasonの大ヒットとは裏腹に、LPはセールス的には全く振るわず、90年代に入って再評価が進んでゆくのだが、その点はThe Beach BoysのLP Pet Soundsみたいだ。

 97年に4枚組CD Zombie Heavenが発売されて再評価の一助となったのだが、当時の英国の音楽誌Record CollectorsやMOJOを見ると、レビューはかなり辛口で、「The BeatlesやThe Rolling Stonesならともかく、The Zombiesで4枚組Boxなんてありえるの?そもそも、オリジナル・アルバムが2枚しかないのにおかしくない?」なんて書いてあった。
 97年当時の音楽評論家のThe Zombiesに対する認識はその程度であり、ミュージック・ヒストリーを俯瞰しながら客観的に考えても、それが一般的な認識(定説)だったと思う。
 The BeatlesやThe Rolling Stonesを引き合いに出されては、英国のビート・グループの場合みもふたもない。
 確かにLP4枚組ならば「身分不相応」と言われても仕方がないと思う。
 しかし、CDにフォーマットが変わったのである。
 そこを理解できない当時の音楽評論家の認識が古かったとしか言いようがない。
 現在ならば、The ZombiesがCD4枚ならThe BeatlesはCD17から18枚と思うだけのことである。
 実際のところ、その後は十枚を超えるボックス発売は少数派で、アルバム単位でのデラックス盤化が主流となっていった。 
 そう考えると、何もかも詰め込んでCD4枚で収まるなんて、Boxにはお手頃だったと言えるだろう。
 
 あー、またしても音質にまでたどり着けなかった。残念!
 続きは次回で…。
Odessey & Oracle
Repertoire
2011-01-21
Zombies

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