Sinatra  Jobim The Complet Reprise Recordings

HMVジャパン

 Frank Sinatra(フランク・シナトラ)とAntonio Carlos Jobim(アントニオ・カルロス・ジョビン)のボサ・ノヴァ集の編集盤が発売された。
 編集盤と言ってもReprise Recordsでの全録音20曲を完全収録している。

 まず収録された音源について発売順に整理しておこう。

 アルバム Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim ↓
 67年発売 Reprise 1021

HMVジャパン

 録音年月日 67年1月30、31日、2月1日
 録音場所  ハリウッド Westers Recorders Studio1
 編曲・指揮 Claus Ogerman
 最高位   19位
 収録曲  
 1. The Girl From Ipanema (Garota de Ipanema)
 2. Dindi
 3. Change Partners
 4. Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)
 5. Meditation (Meditação)
 6. If You Never Come To Me
 7. How Insensitive (Insensatez)
 8. I Concentrate On You
 9. Baubles, Bangles And Beads
 10. Once I Loved (O Amor em Paz)
 3、8、9以外でJobimが作曲に関わっている。
 本CD収録 1~10

 
 Sinatra Jobim  ↓
 70年(キャンセル) Reprise 1028
 
画像














 録音年月日 69年2月11、12、13日
 録音場所  ハリウッド Westers Recorders Studio1
 編曲     Eumir Deodato
 指揮     Morris Stoloff
 収録曲
 1. Sabia
 2. Bonita
 3. Drinking Water (Agua de Beber)
 4. One Note Samba (Samba de Uma Nota So) 
 5. Don't Ever go Away (Por Causa de Voce)
 6. Someone to Light Up my Life
 7. Triste
 8. Wave
 9. This Happy Madness (Estrada Branca)
 10. Off Key (Desafinado)
 全曲でJobimが作曲に関わっている。
 本CD収録 11~20

 3月に発売が計画されたが、シングルMy Wayがチャートを上昇したこともあり延期となった。
 69年暮れにはシングルの動きが収束したので70年1月に発売が計画された。
 LPに先立ち8トラック・ステレオ・カートリッジが市場に出回りかけたが、シナトラの指示で回収のうえ廃棄された。
 理由ははっきりせず、収録曲の出来が気に入らなかったとか、ジャケットが気に入らなかったとか…。
 実はこのジャケットは合成写真で、Warner Bros. Studiosの脇で撮影された写真の背景を森に差し替えたものだ。
 未編集の写真とLPジャケットのテスト・プレスがブックレットに掲載されている。
 このテスト・プレスはネットで出回っているオリジナル・ジャケットとデザインが違う。
 因みに現存する8トラック・ステレオ・カートリッジは5本と噂されている。


 Sinatra & Company Side1収録の7曲 ↓
 71年発売 Reprise 1033 

HMVジャパン

 最高位    73位
 収録曲  
 1. Drinking Water
 2. Someone To Light Up My Life
 3. Triste
 4. Don't Ever Go Away (Por Causa de Voce)
 5. This Happy Madness (Estrada Branca)
 6. Wave
 7. One Note Samba

 キャンセルされたLPから7曲がSide1に収録された。
 ここから漏れた3曲も後の編集盤で陽の目を見た。


 今回、上記20曲が初めて1枚のCDに収録されたことになる。

Sinatra/Jobim: The Complete Reprise Recordings
Concord Records
2010-05-04
Frank Sinatra

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 ボサ・ノヴァが世界に認知されて行く中で、JobimのSinatraとの共演は、ある種事件と言っても良いだろう。
 一方、SinatraにとってもReprise Recordsがロックに傾倒して行く中で、果敢に新ジャンルに取り組んだという点で、異色と言うよりも挑戦的な印象を受ける。



 いずれにせよ、当時それなりにヒットしたアルバムであり、
 Sinatraの他のアルバムと比較するのは意味ないと思うし、
 ましてや現在の視点で批判するようなことがあれば、
 当時お金を払って買ったリスナーを冒涜することになると思う。
 へたをすれば、その時代そのものを否定することにもなりかねない。

 ヒット作に対して許されるのは、個人的な好みを語るぐらいであり、
 不幸にもその人の好みじゃなかったとしても、
 それはその人の感性に合わなかっただけのことであり、
 決してその作品が悪いという評価には成り得ない。
 (まあ、その人にとっては悪い作品なのだろうけど…)
 ヒット作はセールスを背景にそれを跳ね返すだけの特権を持っていると思う。
 そのレコードと共に思い出を作り、支持したリスナーが大勢いたはずだから…

 以下では音質と個人的な印象を述べたい。
 
 24ビット・リマスターにより、とにかく音質が素晴らしい。
 ハリウッド風の豪華なストリングス・アレンジが気持ち良い。
 素朴なボサ・ノヴァとは対極を成すような豪華さではあるが、
録音が良いせいか、でしゃばった感じはなく、ただただ美しい。
 
 私の第1印象は…
 「Sinatraらしくない」である。
 コアなファンには垂涎の素材なのだろうが、
 何かリズムに乗れていないような…
 アンニュイな雰囲気を出そうと音程が不安定のような…
 何か歌い切れていないような歯切れの悪さ…

 私のようなシナトラ初中級者にとっては、典型的なイメージがある。
 と言うよりも、圧倒的な知識と経験不足から一種の固定観念がある。
 例えば「美空ひばりは演歌の女王」みたいな…。
 美空ひばりを演歌という狭いジャンルで語ることが、いかに愚かなことか、コアなファンならご理解いただけるだろう。まさにそれである。
 かなりシナトラに抱いていたイメージと違った。
 それにゴージャスなアレンジから受けるボサ・ノヴァのイメージとのギャップも加わった訳だ。
 イメージしていたシナトラともボサ・ノヴァとも違う…。
 かなり混乱、そして困惑。

 嫁さんにそう話したら驚くべき反応!
 「何を言っとるの!」
 「この人、声が良いね!」
 「少し聴いただけで歌が上手なのが分かる。」だそうだ。
 最後に、
 「この人、誰?」である。
 試しにベスト盤を聴かせた。 

NOTHING BUT THE BEST
RHINO
2008-05-13
FRANK SINATRA

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 「やっぱりねー、有名な人だと思った。」だそうである。
 名前が分からないほど先入観が無い人の方が、
 よっぽど純粋に音楽を受け入れることが出来る訳か。
 素人の感性にかなり反省を促される結果となった。
 確かに「頭でっかち」だったかも知れない。猛省!

 実際に何回か聴き返すうちに、かなりイメージが変わっていった。
 紛れも無いシナトラであり、
 ハリウッド版ボサ・ノヴァであった。
 もしも、固定観念どおりにシナトラがはつらつと歌い上げていたら…
 もはやボサ・ノヴァとは呼べなかっただろう。
 ボサ・ノヴァのイメージを崩さないために、
 シナトラ自身が自分のスタイルを崩すべく挑戦した訳だ。

 更に聴き返すと、逆にJobimの歌が下手に思えて来た。
 これは冗談だが、イメージはそれぐらい変わったのだ。
 さすがヒットしただけのことはある。
 今回はかなり反省する結果となった。

 最後にStan Underwood Cornynのライナー・ノーツが面白かった。
 HMVによるとReprise Recordsのクリエイティヴ・ヘッドだったそうだ。
 現場に同席した人しか分からないことが満載で大変参考になった。

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