Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)West Coast Seattle Boy その2

 前回に引き続きJimi HendrixのWest Coast Seattle Boyの2回目。
 Jimiの編集盤はよく墓場荒らしと言われる。
 なぜか???

 前回、Fire1曲を聴いただけで、このBoxは☆五つだとレビューした。
 この曲はテイク7を基にマスター・テイクが作られた訳だが、コレクターズCDでアーリー・テイクを聴いたことがある。
 タイトルはAre You Experienced The Sessions ? Vol.1とVol.2。
 そこにはテイク1から6と記載されていたが、恐らくリード・ギターのオーバー・ダビングじゃないかな…。真偽は分からない。
 でも、Mono音源ではあったが、非常に興味深かった。
 このようにレコーディング・セッションをまとめて出してくれると、なにがしらかのコンセプトを感じることができる。

 Jimiの場合、死後に幾多の未発表曲収録の編集盤が発売された。
 素材が良かったため、適当にアルバムに詰め込んだだけでも、まるで新作のように大ヒットした。
 しかし、次第に質が低下して行き、粗悪品が混じり出した。
 挙句の果てには、未発表曲と言うだけで、最低の内容で、最低の音質のものまでもが陽の目を見ることとなった。
 コアなファンでも資料的価値としてしか興味を示さず、とても一般の音楽ファンには薦められないような作品が市場に出回った。
 この悲劇的状況が、墓場荒らしの所以だった。

 本Boxについても、ネット上で「また、墓場荒らしか!」みたいなレビューを見かける。
 たちの悪い「オリジナル原理主義者」的な凝り固まった発想だ。
 Jimiが生前に発表した作品しか認めないと言うのが基本理念のようだ。
 その考えにも一理あるのだろうが、あなたはどう思う?
 つまらなくないかい?

 未発表曲の中には、
 ・完成し、次回のアルバム用に温存されていた曲。

 ・完成していたが、他のテイクを採用した別テイク。
  はっきりした優劣が認められる場合もあれば、甲乙つけ難く、その時の気分でたまたま選出から漏れた場合もある。
 
 ・完成していたが、出来が悪くお蔵入りとなった没テイク。
 永遠に封印するつもりだったのか、一時的な措置だったのかは永遠に不明。

 ・完成していなかったが、ほとんど出来上がっていた曲。

 ・全くの製作途中だった曲。

 ・ライブ録音。

 ・Demo録音。

 私のような「あるものは全部聴かせろ派」としては、一般の音楽ファン向けかどうかは別として、玉石混合でも良いのでとにかく聴いてみたい。
 収録されたクズみたいな曲を聴いて、Jimiのことを最低とか、ヘタクソとか、才能がないとか言わないので…。
 だって、明確に発表の意志が無かった素材を評価するのは反則でしょ。
 Jimiとしても正式に発表していない素材を評価されるのは心外だと思う。
 誰だって、そうだよねー。
 まだ、製作途中で完成していないのに、30点とか言われたら…。
 自分では納得できず、廃棄しようと思っていたら、5点とか言われたら…。

 一方で、未発表の素材の中に宝石のようなものがあったなら、賛辞することは許されると思う。
 Jimiが賛辞を聴いて、「あんた、話が分かるね!」とうなづくのか、
 「バカヤロー、この曲はもっと良くなったはずなのに適当なこと言うな!」と不満を漏らすのかは、想像するしかないね。

 要するにアーティスト本人の同意なしに、未発表の素材を聴く場合には、
 賛辞は許されても、批判は許されないということだ。
 何でも聴いてみたいとファンがエゴを通す以上、このことを忘れてはいけない。

 ただし、編集者のセンスを批判することは許される。例えば、
 何でこんな曲を選曲したの?
 この曲なら、もっと良い素材があるじゃないか?
 なんであの曲を入れなかったの?
 なんでこんなに音が悪いの?
 曲の並びが最低!
 もっと、コアなファン向けのマニアックな作品にしろ!
 ちょとは一般のリスナーのことも考慮したらどうだ?
 値段が高過ぎる!等。

 以上のことをバランスよく調整してグラミー賞の企画賞なんて狙ってはいけない。
 そんな場合には中途半端な内容となってしまうことがよくあるから。
 そもそも、5枚組のBoxなんて、ファンしか買わないのだから…。
 
 レコード会社側の
 目的:利益を上げ、利益を株主に分配し、それにより経営陣が評価されること。
 手段:消費者が買ってくれるものを売る。(売れないものは売らない)

 アーティスト側の
 目的:自己の作品(才能)を世に知らしめ、正当な評価と報酬を得ること。
 手段:入魂の自信作を発表する。(自己実現が主で報酬は二の次)

 ファン側の
 目的:お気に入りの作品を手に入れて、何がしらかの満足感を得たい。
 手段:どれくらいのファンかにもよるので、一概には言えない。

 一概に言えないのでマーケッティングが必要となる。
 1万円の価値のものを1千円で売ればバカ売れする。
 逆は、通常有り得ないが、コレクターの場合は需給関係で有り得る。
 でも、100万円の価値のものを50万円で売ったらどうか?
 相当なコアなファンしか買わない。
 100万円を10万円で売ったら?5万円にしたら?1万円にしたら?
 売れる可能性は高まるが、利益は減って行く。
 でも、これは1個当たりの利益であり、
 売上が100個、1千個、1万個と増えていったら利益額は増える。

 より高く、より多く売ればレコード会社は大儲け。
 顧客(ターゲット)を決め、内容を決め、価格を決める。
 どれを決め損なっても、大儲けは出来ない。

 一般のリスナーをターゲットに、15曲収録のベスト盤を、1,500円で売る。
 Jimi初心者に、30曲収録の2枚組ベスト盤を、2,800円で売る。
 Jimi中級者に、1stアルバムにボーナス曲とDVDを付けて、3,000円で売る。
 Jimi上級者に、DVD付きの5枚組未発表曲集を、10,000円で売る。
 Jimiの超コアなファンに、… たぶん商売は成り立たない。

 だから、超コアなファンが喜ぶ素材が、まとめて発表されることはまずない。
 たぶん、中級者や上級者向けの作品に紛れ込む形でしか世に出ない。
 「また、手を変え品を変え、小出しにして!」という批判は、ここに原因がある。
 でも、仕方ないことだ。
 営利企業は、そもそもボランティアではない。(byドリトル)
 よって、お宝の小出し状態は、お宝が尽きない限り、ズ~ッと続く。

 その点、今回のBoxは健闘していると思う。
 お宝の小出しでも、数十曲も集まればスゴイ!
 墓場荒らしなんて言ってる場合じゃない。


West Coast Seattle Boy: The Jimi Hendrix Anthology
Sony Legacy
2010-11-16
Jimi Hendrix

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 ↑輸入盤。

 私のこのBoxに関する印象は、

 Room Full Of Jimiである。
 気持ちイイ! 美しい! カッコイイ!

 Disc1がDisc2以降の3枚に匹敵する内容とは思わない。
 資料的価値が主だと思うが、このように1枚にまとめられると重宝だ。

 Disc2以降は、選んだ素材によって多少の音質のバラつきはあるが、総じて音質は良好であり、オリジナル・アルバム収録曲を上回る秀逸な音質の曲も散見される。

 このアルバムをJimi初心者に推薦するつもりはないが、Jimiファンを自称するならば、聴くべきだろう。
 「墓場荒らし」なんていう先入観は捨ててさ!
 部屋じゅうがJimiの音で満たされる幸せ。
 嫁さんのいない土曜日の午後、Jimiをガンガン聴く。

 それにしても最近のマスタリング技術はスゴイね。
 バランスがよく、非常に自然な音場。
 ベース・ギターやバス・ドラムの豊かで分厚い低音。
 流れ出すギターの音色。
 決して耳に突き刺さるような音ではなく、ただただ美しい。
 ヴォーカルの質感。
 40年以上前の録音であることを忘れさせる。
 迫力はあるが、圧迫感がないので、ストレスなくリラックスして聴ける。
 最高に気持ちイイ!

 選んだ素材も良いと思うし、年代順に収録されている。
 ニューヨークのホテルの部屋で録音された6曲のDemo。
 何をどうしたら、こんな素晴らしい音になるのか?
 一体全体、どんな器材で録音したんだ?
 アコースティック・ギターのカッティング、ボディーの共鳴が生々し過ぎる。
 Tears Of Rage
 Jimi版アンプラグド・コンサートだ。
 本当にDemoなの?
 バランスが良いので、どこかの放送局のスタジオ・ライブと間違いそうだ。
 エレキ・ギターでの弾き語りのAngel
 シビれる!トロける!最高にスィートだ!!!
 この1曲を聴かずして、何とする! 


 ↑日本盤。

 ここでJimiを特集した音楽誌を紹介しておこう。↓

THE DIG presents ジミ・ヘンドリックス (シンコー・ミュージックMOOK)
シンコーミュージック・エンタテイメント

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 ↑今回のBox紹介がメインであるが、個人的には掲載されたスケジュールに驚愕し、かつ、重宝した。
 スゴイね!こういのって、どうやって調べたんだろう?
 調査した人は偉い!

 続きは次回で…。

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