Felicia Sanders(フェリシア・サンダース)Song From Moulin Rouge

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 このジャケットにやられてしまった。
 誰だ?この人…。
 名前を見ても全く判らなかった。
 ジャケットを見て、ビビッときた自分の感性を信じて買ってみた。
 Percy FaithのMoulin Rougeでヴォーカルを担当していたのか。
 こんなに美しい女性だったとは…。
 我ながら不覚。
 でも、どんな資料を見てもPercy Faithの写真しか載っていないから、判らなくても仕方がないか…。
 それにしても情報が少ないなー。

 52年12月23日公開の映画ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)。
 後期印象派の巨匠トゥールーズ・ロートレック(1864年11月26日-1901年9月9日)を主人公に、パリのキャバレーを舞台にした物語。(ジョン・ヒューストン監督)
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 この映画の中でIt's April Againと呼ばれる歌が登場する。↓



 ↑女優は伝説のフレンチ・カン・カンのダンサーJane Avril役のZsa Zsa Gabor。
 ただし、口パクで実際に歌っているのは黒人オペラ歌手Muriel Smith。

 公開から1ヶ月と経たないうちに、この挿入歌は題名を変えてカバーされた。
 The Song from Moulin Rouge (Where Is Your Heart)
 カバーしたのはPercy Faith。
 ヴォーカルに起用されたのは、31歳の白人女性歌手Felicia Sanders。
 22年ニューヨーク州Mount Vernon生まれ。(月日ははっきりしない)
 40年代にはロサンゼルスのビッグ・バンドやラジオで歌手として活躍した。
 結婚を機に引退し、子供も生んだが、50年復帰してハリウッドのナイト・クラブCafé Galaで歌っていた。
 それがジャズ・マンBenny Carterの目にとまり、Columbia RecordsのMitch Millerに紹介され、レコーディングに至った。

 SP盤カタログNo.(チャート)
 録音年月日 曲名
 ※赤字は本CD収録曲。

 39900
 11/28/52 PLEASE BE GOOD WHILE I'M GONE
 11/28/52 PEOPLE IN LOVE CAN BE LONELY

 そして、Percy Faithの録音にわずかなギャラで大抜擢された。

 39944 (53年4月4日1位、10週間)
 1/22/53 MOULIN ROUGE
 B面はPERCY FAITH & HIS ORCHESTRAの単独曲。

 発売の直前にニューヨークのナイト・クラブBlue Angelと契約し、シングルのヒットもあり徐々に人気も上がっていった。
 シングルは10週連続1位となり、ビルボード誌の53年Song Of The Yearに輝いた。

 その後もシングルを発売したが、ヒットにはなかなか恵まれなかった。 

 39965
 1/30/53 I MAY NOT REMEMBER YOUR NAME
 11/28/52 WHAT SHOULD I DO

 40011
 1/30/53 HOW DID HE LOOK
 11/28/52 I NEVER SAW THE SHOW

 40085
 8/20/53 MELANCOLIE(Hold Me Close)
 8/20/53 EMBRASSE

 54年頃よりBlue AngelでBart Howardが作曲したIn Other Wordsを初めて歌い始めた。
 因みに初めて録音し、54年に発売したのは女優のKaye Ballardだった。↓



 この曲は63年Joe Harnellによりボサ・ノヴァ風インスト曲にアレンジされ、曲名もFly Me to the Moonに変更して発売されたところ、14位の大ヒットとなった。



 05年米国Collectors' Choice Recordsから本作を収録したアルバムFly Me to the Moon & The Bossa Nova Pops(63年3位)のStereo盤が復刻されている。↓

HMVジャパン CD DVD 書籍 音楽 ゲーム


 その後、数多くのカバー・ヴァージョンが発売され、今やスタンダード曲となっている。
 
 ??????(SP盤のリストになし)
 11/8/53 Ma Curley Headed Babby

 40219
 2/28/54 LOVE AFFAIR
 11/16/53 JOLE JOHN

 40275
 ???????? DON'T STAY AWAY TOO LONG
 6/18/54 MY LOVE BELONGS TO YOU

 40386(cancelled?)
 8/18/54 HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON
 ???????? I WANNA' BE LOVED

 40399
 ???????? FROM NINE TO FIVE
 8/18/54 HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?

 55年になりテレビ番組The Medicのテーマをカバーして2枚目のトップ40ヒットとなった。

 40508 (29位)
 4/24/55 BLUE STAR(The Medic Theme)
 4/24/55 MY LOVE'S A GENTLE MAN

 40580
 9/23/55 ALL AT ONCE(Deja)
 9/23/55 WANTING AND LOVING

 40622
 ???????? THE THINGS THAT YOU CAN'T SEE
 ???????? IF YOU CAN DREAM

 40689
 3/26/55 SURRENDER TO ME
 3/26/55 THIS IS REAL

 チャート・インしたThe Song from Moulin Rouge (Where Is Your Heart)とBlue Starの2曲は今でこそスタンダードと呼ばれているが、当時としては最新の映画とテレビの挿入歌である。
 また、前者はPercy Faithでの客演であり、後者はシングルの不発が続く中で、明らかにMitch Millerが戦略的にヒットを取りに行った曲である。
 この2曲を例外と考えれば、耳慣れない新曲ばかり取り上げて、果敢に攻めていたことが判る。
 ポピュラー音楽の歴史がまだ浅かったと言えばそれまでだが、煮詰まってスタンダードのカバーが横行する昨今の状況を考えると、ジャズ・ヴォーカルにも冒険的かつ挑戦的な時代があったのだなと思う。 

 55年には初のリーダー・アルバム(CL-654)を発売。↓
 タイトルはAt The Blue Angelとなっているが、実際にはロサンゼルスで録音され、拍手喝采をオーバー・ダビングした擬似ライブ。
 Irving Joseph(ピアノ)、Norm Jeffries(ドラムス)、Red Callender(ベース)。
 MCはFelicia自身が務めている。(曲紹介とサンキュー、サンキュー)

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 ↑ナイト・クラブの設定であり、上記シングルとは全然雰囲気が違い、リラックスし、砕けた感じがし、押したり引いたり抑揚を利かせ、かなりエモーショナル。
 シングルの行儀正しい唱方と比較すると、全くの別人である。
 また、選曲も有名曲中心で聞き易いうえに楽しい。
 特にMy Funny Valentine当たりは、短いけど、上々の出来だと思う。
 ラストはThe Song from Moulin Rouge (Where Is Your Heart)。

 06年英国のSepia Recordsがシングルからの選抜16曲とAt The Blue Angelを丸々収録した編集盤を発売していた。↓

HMVジャパン CD DVD 書籍 音楽 ゲーム

 ↑録音は53年から55年と古いのだが、大手Columbiaの録音であり、マスター・テープの経年劣化のため曲により一部ムラはあるものの音質は全般的に良好である。
 特に後半の擬似ライブ部分は秀逸と言って良い音質である。
 また、78分収録には大満足である。
 ただし、ブックレットについては、バイオ等についてもう少し情報量が欲しかった。
 なぜならば、ネットで探しても情報がほとんどない。
 有っても、似たような内容ばかり…。
 結局のところ、動画は全く見つからず、写真もわずかであった。
 本CDのジャケットに、こんなに素晴らしい写真が使用出来たこと自体、全く奇跡的だ。



 ↑ヴォーカルなしのインスト・ヴァージョン。

 以下に見つけ出したアルバム・ジャケット等を紹介しておこう。 

 55年Columbia Records所属のPeggy King、Jerry Vale、そしてFeliciaの共作Girl Meets Boy(CL 713)が発売された。↓

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 若い男女の三角関係をストーリー仕立てにしたものだが、メインはPeggyで、恋人に当たるJerryを誘惑するのがFeliciaと言う設定らしい。
 Feliciaはソロとデュエットで以下の2曲を歌っている。

B1 I Wanna Be Loved (Felicia Sanders and Jerry Vale)
B2 Temptation (Felicia Sanders)

Girl Meets Boy/Wish Upon A Star
Collectables
2003-11-25
Peggy King

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 ↑アルバムGirl Meets Boyを2イン1で収録したCD。

 57年にはTime RecordsからFelicia Sandersを発表。

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 ←Mono盤












 ←Stereo盤












 A1 I Wish You Love
 A2 Said to My Heart, Said I
 A3 If You Go
 A4 I'm Through With Love
 A5 Warm All Over
 
 B1 When the World Was Young
 B2 Look at Me
 B3 We'll Go Away Together
 B4 My Kind of Trouble Is You
 B5 Anyone Would Love You

 続いてDecca Recordsから発売されたThat Certain Feeling。↓
 発売年についてははっきりせず、58年、59年、60年の情報がある。

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 ←Mono盤 












 ←Stereo盤












 A1 It Never Was You
 A2 Dancing in the Dark
 A3 Music, Maestro, Please
 A4 A Woman's Love Is Never Done
 A5 Rabbit at Top Speed
 A6 I Happen to Like New York

 B1 Summer Love
 B2 That Certain Feeling
 B3 I Had Myself a True Love
 B4 What Have You Done All Day?
 B5 Summertime
 B6 Nobody Else But Me

 60年Time RecordsからSongs of Kurt Weillを発売。
 67年にMainstream Recordsより再発された。

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 ←Mono盤
 












 ←Stereo盤












 A1 Speak Low
 A2 This Is New
 A3 Remember That I Care
 A4 Green Up-Time
 A5 September Song
 A6 Here I'll Stay
 
 B1 Thousands of Miles
 B2 Foolish Heart
 B3 Stay Well
 B4 Westwind
 B5 Mon ami, My Friend
 B6 Oh Heart of Love

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